INBCバックギャモンカーニバル2023におけるギャモン学会の発表が無事に終わりました。ご聴講いただいた皆様ありがとうございました。まだの方はアーカイブもご覧になれます。
今回は、学会発表中にコメントがあった、43Sに対する11のレスポンスムーブを取り上げます。
43S-11
前回の記事で、オープニングムーブの43SがINBCではほとんど選ばれないという話をしました。
一方で10ポイントにビルダーを置くスプリットは、評価値では大差がないにもかかわらずINBCでは非常に少なく、スプリットの中でも6%台にとどまっています。ここまで出現頻度に差があると、レスポンスでエラーを誘うために43Sを選ぶ手もあるかもしれません。
それを踏まえてか否かはわかりませんが、リアルタイム発表中のチャットで「43S-11でミスを誘うために初手43Sしてるとこある」というコメントをいただきました。このような局面になります。 レスポンスの11では、ほとんど(全く?)例外なく5ポイントを作ります。この場合ももちろんそうです。あと2回をどうしましょうか?
一般的には相手がスプリットした後は7を作るよりもバックマンをスプリットする方がよい手であることが多いです。8ポイントのブロットがダイレクトに狙われるからですね。しかしここではスプリットした1枚をヒットしています。8ポイントがヒットされる相手の出目は5通りしかありません。ということで、7メイクで決まり!でしょうか?
実はここでの最善手は、残り2回でスプリット(24/22)する手になっています(7メイクは50点級のエラーです)。INBCのYouTubeチャンネルにある「オープニング・レスポンス講座」によると、「どのみち相手はそんなにいいことができないので、8ポイントのリターンを与えるのがよくない」というような説明がされています。
今回のINBCでの観測では43Sが26回だけですが、レスポンス11は幸い2回登場しています。そしてその両方で7メイクが選ばれています。たしかにミスを誘うという目的が達成できそうな手であることがわかります。
54Z-11
それでは同じく20ポイントにスプリットする54Z*1に対しての11はどうでしょうか?この場合は、7メイクとスプリットがほぼ同等になっています。スコアがビハインドであれば、ギャモニッシュな7メイクがよくなります。43S-11と同じように考えてしまいがちですが、ビルダーブロットの有無だけでこれだけの違いがあるのですね~*2。
54は標準的なオープニングムーブですので、11レスポンスも14回あります。ほぼ同等でありながら、7メイクが13回と圧倒的に人気なのは興味深いですね(ただしギャモンゴー寄りのスコア状況が多いです)。