反省会

反省に反省を重ねる半生。

INBCで見かけないレスポンスムーブ(1)~21$-63

何回かにわたってインターネットバックギャモンクラブ(INBC)で観測されたレスポンスムーブについて語りましたが、今回はほとんど観測されていないレスポンスムーブについて語ります。

21$-63

初手21スロット(13/11 6/5)に対する63です。初級の段階では、(ヒットできない)レスポンスの63はアクションプレイ(63S)か15まで走る(63R)かの2通りあると習います。15まで走るのは相手のミッドポイントと11ポイントから狙われるのであまりよくないと考えて、アクションプレイを選ぶ人がいます。

  • 24/15 : 12
  • 24/18 13/10 : 7

しかしよく見てみると、こちらの15ポイントをヒットする目は1と3です。そしてどちらも相手がスロットした5ポイントをカバーする目と重なっています。そういうこともあって、勝率重視の状況では15ポイントまで走る手が最善となっています。

それでは貪欲に行きたいときはどのような手になるでしょうか?アクションプレイでは、後手ということもあって18ポイントを叩かれてリターンショットが決まらないとまずい状況になってきます。ということで、思い切ってミッドポイントから7ポイントにスロットしてみましょう。3の目は24/21とでもしますが、このようになります。

21$から13/7 24/21
7ポイントがダイレクトに狙われるので怖さを感じるかもしれません。しかし相手は6の目を5ポイントのカバーに使いたいのでした。136と6の組み合わせを出されるとヒット&カバーされてしまうのですが、そうならない限りはこちらも7ポイントを作って対抗できる可能性が高まります。つまりお互いにギャモン率が高くなる形になります。こちらのギャモンバリューが十分にあるスコアでは、15に走るよりもこちらの7スロットの方が期待値の高い手となります*1

(関連)21$-62

それでは後手が62の場合はどうでしょうか?この場合は、走ってもデュプリケーションが成立しないので、62Rよりも62S(アクションプレイ)の方がいい手となっています。

  • 24/18 13/11 : 7
  • 24/16 : 2
  • 13/7 13/11 : 1
  • 13/5 : 1

こちらはミッドポイントからスロットする手も観測されています*2。スコアなどの状況によってはリーズナブルになる一手です。他にもっとも貪欲なムーブとしては、 13/7 6/4 というのがあります。7と4にスロットする形ですね!

21$から13/7 6/4
これも3と6のデュプリケーションがあるので成立する手です。個人的な思い出になりますが、3年以上前にいぺさんの配信でこのムーブを知りました。そのときの感動が冷める前にINBC大会でこの状況になったのでやってみました*3が、次の相手の出目が21だったので、特に面白いことは起こりませんでした。

*1:もちろん相手のギャモンバリューが低いスコアではそもそも21でスロットをしてこないでしょう。お互いにあと4~5点であるような状況では、このような応酬が最善となりがちです。

*2:同時に22にスプリットする手も場合によって最善に近くなります。

*3:第十四期なので、上記の集計にはカウントされていません。

INBCにおけるレスポンスムーブ(2)~41で13/8が許される場合

オープニングロールの41で13/8というセーフティなムーブをするのは、「何もしていない」悪い手とされます。先手をとるというアドバンテージを生かして、次に仕事をできるようなムーブ(スプリットなりスロットなり)をするべきということです。

それではレスポンスの41ではどうでしょうか?13/8はやはり「何もしていない」のですが、それ以外の手のリスクが大きい場合には消極的に支持される場合があります。

52Z-41

最もよく遭遇するのが、先手が22にスプリットしたケースです。そもそも先手が22にスプリットするのは、INBCではほとんどが52ですので、以下では52Zについてのみ考えます*1

このときに、オープニング41のときのように13/9とビルダーを下ろすと、相手の22ポイントのダイレクト圏内に入ってしまいます。最序盤において6の目は使い道に困る場合も多いのですが、相手の6の目に明らかないい仕事をさせてしまうのがよくないのでしょう。ということで、9ポイントにとどめずに8ポイントに上げてしまう手が(消極的に)よいとされます。また、24/20 24/23というダブルスプリットも悪くありません。ハイアンカーを取りやすくなるので、ギャモン負けを避けたい場合はこちらが支持されます。

INBCではどのような手が選ばれているでしょうか。

  • 13/8: 9
  • 24/20 24/23: 10
  • 13/9 24/23: 9
  • 8/3*: 2

13/8と24/20 24/23は、観測されているスコア状況においては10点以内の差しかありませんので、好みに応じてと言ったところでしょうか。先手番のようなマイナースプリットを選んだ人が3割ほどいますが、これは明確に損する一手となっています(50点級のエラー)。

面白いのは3ヒットですね。2つの目を使ってルースヒットするというのはあまり効率がよくないのですが、これが選ばれた2回のうちの1回は4a-1aクロフォードというギャモンゴーの状況であり、最善ではないもののリーズナブルなエラー(10点台)にとどまっています。もう1回の状況はINBC順位戦(現在のINBCリーグ)ですので、順位表の状況によってはこれもリーズナブルであった可能性があります。

64P-41

以前述べたように、INBCでは初手64で2ポイントメイクをする人がそこそこいます。その場合に後手が41を振るとどうでしょうか? 1の目でのスプリットができなくなるので、実質的な選択肢がほとんどありません。INBCでの選択は次のようになっています。

  • 13/9 6/5: 8
  • 13/8: 4

この2つの手には、評価値としては大差がありません(観測範囲では20点以内)。スコアリードの時は13/8、DMPでは13/9 6/5が支持されることを覚えておくと役に立つでしょう。

大事なのは、24/20を考えないことです。64Pに対してメジャースプリットをするとブリッツ志向な相手の思う壺になりがちです(実際、64Pに対する54も2枚下ろしが支持されます)。ましてこの場合は、1の目でさらにブロットを晒すことになってしまいます。

(関連)レスポンス32では?

レスポンスの32で13/8というムーブは、先手のアクションプレイ(62S/63S/64S)を中心に数回観測されています。ですが「許される」というほどでもない損失がありますので、そういう手はないものと考えた方がいいでしょう。

蛇足ですが、ギャモン負けしたくないときの62S-32はダブルスプリット(24/21 24/22)が優秀だったりします。スプリットした2枚がいずれも相手11ポイントのビルダーからインダイレクトなのがいいのでしょう。ダブルスプリットについてまとめる機会がないかもしれないので、ここで触れておきました。

(関連)レスポンスの13/6は?

13/8は、13ポイントと8ポイントの配置を5枚+3枚→4枚+4枚と均しているという点でわずかなプラスがあります。しかし13/6では6ポイントに6枚目を積むことになってしまい、13/8にあったわずかなプラスすらありません。ということもあってか、13/6が許されるケースというのは見受けられませんでした*2

*1:ちなみに32Z-41では、3ヒット、13/8、マイナースプリット、ダブルスプリットの4つは微差です。1ヒットはそれらより少し悪いようです。

*2:もちろん、ゲームが進んでレースで勝つのを狙う(しかない)のが決定的になった状況では、相手に1ショットも与えない13/6が支持されるケースは出てきます。

INBCにおけるレスポンスムーブ(1)~5ポイントをヒットする11

INBCバックギャモンカーニバル2023におけるギャモン学会の発表が無事に終わりました。ご聴講いただいた皆様ありがとうございました。まだの方はアーカイブもご覧になれます。

今回は、学会発表中にコメントがあった、43Sに対する11のレスポンスムーブを取り上げます。

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